ピンポンパン徒然草   第 七 段






 皆さんすでにご存じのように、去る6月24日、ガンちゃんこと石村治樹さん(本名:石村正夫さん)が53才という若さで亡くなりました。訃報を受けた直後の僕は少し気が動転していましたが、今ではもうすっかり落ち着きましたので一応の気持ちの区切りとするためにガンちゃんに追悼文を捧げたいと思います。ピンポンパンを愛する仲間を代表する気持ちで綴ってみました。



 ガンちゃん(本来ならば「石村さん」とお呼びすべきなのでしょうが、今まで親しみ慣れてきたこの呼び名を使うご無礼をお許し下さい。)、僕らはまた大切なピンポンパンの仲間を一人失ってしまいました。

 僕があなたの訃報を受けたのは、あなたが亡くなられた翌日、25日のことです。梅雨の最中ということもあり一日中どんよりと曇ってはいましたが、雨は降らずに乾燥した冷たい風が肌にしみる少しばかり不思議な日のことでした。悲しい知らせを聞いた直後、しばらくの間は呆然としましたが、少し落ち着いてからも僕はそのことを事実として受け止めることができませんでした。そしてあなたの死を心の中では否定しながらも何故か涙が止まらなかったのです。

 翌日は前日の厚い雲が切れて、早朝から青空が広がり涼風が吹く清々しい天気でした。部屋の窓を開けて風を受けながら、僕はあなたとの出会いを回想してみました。

 番組がゆきえお姉さんの時代、僕が小学5年生の頃からあなたの記憶が始まります。当時の僕はあなたに対して「ごく自然にいつの間にか番組に溶け込んでいた元気なお兄さん」という印象を持っていました。ただ、体操のお兄さんに比べるとちょっと地味かな、とも思っていましたが。でもあなたと新兵ちゃんとの明るくて愉快な会話や時々披露してくれた素晴らしいダンス、ある時にはいろいろな姿に変装して僕らを楽しませてくれたことなどを僕は今でも鮮明に覚えています。

 大竹宏さんの声優伝「カ−タンのなみだ」によれば、あなたはすでに恭子お姉さんの時に「ピンクのバニー」のバックダンスをお兄さん(金森さん)と一緒に踊っておられたのですね。スクールメイツ出身であることも知りました。あのガンちゃんの身のこなしの軽快さは決して故なしではなかったことがわかったのでした。同時にずいぶんと長きにわたり番組に貢献してこられたんだと今さらながら改めて感じています。

 先日、ある方へのメールに僕は次のように書きました。『もし仮にガンちゃんを番組の" 脇役 " と呼ぶとしたら、彼は名脇役であると断言できます。なぜなら脇役に実力がなければ番組に魅力が生まれませんので、ピンポンパンはもっと早くに終了していたでしょうから。』と。ですが、よくよく考えてみると、ピンポンパンという番組の中では、おねえさん、お兄さん、カ−タン、新兵ちゃん、ガンちゃん、ビッグ・マンモス、番組に出演した園児たち一人一人、みんなが主役だったのですね。ですからその中の一人でも欠けたり、目立ち過ぎたりしてもピンポンパンという番組は成立しないのです。カ−タンが引退してから数カ月後に番組が打ち切りになっているのも象徴的な出来事だと思います。(もちろん大竹さんが引退を決意された時には、すでに番組の打ち切りが決まっていたというタイミングの問題もありますが。でもガンちゃん、あなたの死をきっかけにこのようなことまで考えるようになったのですよ。)

 ピンポンパンが終了して20年を経ていますので、ファンの年齢層はお世辞にも決して若いとは言えません。ですけれどガンちゃんや他のキャスト、スタッフの皆さん方のおかげで、幼い頃や多感な時期にピンポンパンに出会い、接した子供たちは皆、感受性が強くて、思いやりのある優しい大人に成長したことは事実だと思います。ある方の追悼文を読んでわかったのですが、番組終了後のガンちゃんのお人柄や生きざまも多くの若者に影響を与えていたのだと感じました。元気がよくて、活発で、明るくて、楽しくて、ダンスが上手で、笑顔が素敵なガンちゃんはピンポンパンの中だけで演じられていたわけではなかったのですね。本当に素晴らしい仲間を失ってしまったのだと思うと、また言いようのない悲しみが僕の胸に押し寄せてきます。

 僕はこれからもピンポンパンの中で紹介された数々の素晴らしい音楽と番組の記憶とをしっかりと後世に残すべく努力を続けていきます。ガンちゃん、どうかずっと見守っていてくださいね。そしてこのHPに集まる仲間たちにも元気を与え続けてください。お願いします。

 番組の最終回でけいこお姉さんは僕たちに次のような素敵なメッセージを残してくれました。『ピンポンパンの仲間を代表して皆さんに最後の言葉をお伝えします。ありがとう、私たちはいつまでも素晴らしい友達です!』 さわやかでとても感動的な言葉でした。今度はこの言葉を僕はあなたに捧げたいと思います。『ピンポンパンを愛する仲間を代表してガンちゃんに最後の言葉をお伝えします。ありがとう、僕たちはいつまでも素晴らしい友達です!』

 ガンちゃん、本当にありがとうございました。やすらかにお眠りください。さようなら。

                               平成14年6月28日 源じい